私が若い頃に教わっていた先生から、こんなことを言われたことがあります。
「あなたって、白いキャンパスに絵の具をブチャ~ってぶちまけたみたいな声ね」
そうおっしゃって、その先生はケラケラ笑っていました。
今の私だったら、その意味が分かりますよ~。(笑)
でも当時の私には、どういうことか理解できませんでした。
もちろん、その解決方法も分からなかったです。
その先生のレッスンは、
「絵の具をぶちまけた声ね」
「もっと上の響きじゃなきゃダメね」
「大ホールで響く声じゃなきゃダメね」
と指摘するだけ。
毎回、いろんなことを指摘した後、
「自分でよく研究してみて」
「自分でよく考えてごらん」
と言われてレッスンが終わりました。
私は、正直、
「え~っ!指摘しっぱなしかよ~?」
と思いました。
だってね、
指摘しっぱなしなら、友達どうしでできるもん!
解決策を教えてくれないなんて・・・
声楽は「自分で考えて」できるものじゃないです。

すごく悩んだ末、他の先生にも教えていただくことにしました。
いわゆる「隠れレッスン」ですね。
そうしたら、少しずつ上手く歌えるようになってきたのです。
「絵の具をぶちまけた声ね」
と言った先生が、
「絶対にあなたは合格しない」
と断言したオーディションに合格したのですから!
これはもちろん、他の先生に教えていただいたからです。

あの時期のことを思い出すと、
「私は、あの先生のように指摘しっぱなしで、生徒さんを不安にさせないようにしよう」
と身が引き締まります。
でも、昔の私が指摘されたことは、今は納得できるんです。
だから昔の私に教えてあげるつもりで、生徒さんにも丁寧に、そしてしつこく(笑)、一緒にレッスンに取り組んでいこうと思っています!!
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